相続放棄での生命保険の扱い

文責:所長 弁護士 大澤耕平

最終更新日:2023年06月27日

1 相続放棄をしたら、死亡保険金は受け取れないのか

 「相続放棄をする場合は、遺産を受け取ってはいけない」ということは、何となくわかる方も多いのではないでしょうか。

 では、生命保険は、相続放棄との関係で、どのように扱われるのでしょうか。

 「亡くなったら、相続人がお金を取得する」という点では、死亡保険金と、預貯金は近い性質があるようにも思えます。

 そのため、相続放棄をした場合には、生命保険により支払われたお金を受け取ってはいけないと考えている方は少なくありません。

 そこで、相続放棄と生命保険の関係について、ご説明します。

2 相続放棄をしても、死亡保険金を受け取ることができる場合がある

 相続放棄をすると、「遺産」を相続することができなくなります。

 この「遺産」の中には、亡くなった方が所有していた不動産、預貯金、自動車などの財産が含まれます。

 反対に言えば、亡くなった方が所有していたとは言えない財産については、「遺産」とはならず、相続放棄をしても、受け取ることが可能ということになります。

 では、死亡保険金は、遺産に含まれるのでしょうか。

 たとえば、父親が契約者として保険料を支払っていた場合で、父親が亡くなった場合、相続人に死亡保険金が支払われるというケースを考えます。

 この場合、死亡保険金は、最初から相続人の財産として考えられています。

 つまり、父親は生前の間、死亡保険金を受け取ることが想定されておらず、父親が亡くなった時に、相続人が死亡保険金の請求権を取得することになると考えられています。

 そのため、死亡保険金は、「遺産」に含まれず、相続放棄をしても受け取ることができます。

3 生命保険がある場合、専門家にご相談ください

 先程の例は、あくまで一例であって、生命保険の契約の内容によっては受け取ると相続放棄ができない場合もあります。

 また、仮に死亡保険金を受け取っても問題ないケースであっても、相続税の申告が必要になる場合もあります。

 そのため、亡くなった方が生命保険の契約をしているようなケースでは、すぐに受け取り手続きをせず、まずは専門家に相談することが大切です。

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