相続放棄をすると土地はどうなるか
1 相続放棄をしても、土地は残り続ける
相続放棄をすると、次の順位の相続人に、相続権が移ります。
たとえば、Aさんが亡くなって、Aさんの子が全員相続放棄をした場合、次の相続人は、Aさんの親や、Aさんの兄弟姉妹なので、それらの人に相続権が移ります。
では、相続人全員が相続放棄をした場合、どうなるのでしょうか。
相続放棄をして、誰も所有権をもっていないとしても、土地そのものが消滅するわけではありません。
そのため、土地をどうするのかは、ずっと残り続ける問題と言えます。
2 土地は原則として国のものになる
土地に限らず、相続人全員が相続放棄をした場合、財産は国のものになります。
ただし、何もしなくても、当然に土地の所有権が国に移るわけではありません。
裁判所での手続きを踏んで、正式に土地の所有権が国に移ります。
もっとも、土地がそのまま国のものになるとは限らず、実際には、まず売却を試みて、売却できればお金を国に渡し、売却できなければ土地を国に渡すことになります。
3 相続財産清算人の選任が必要
土地を国のものにするためには、家庭裁判所に相続財産清算人の選任申立てをする必要があります。
相続財産清算人は、遺産の内容を調査し、債務があれば遺産から返済し、残った財産を国庫に帰属させる役割を負っています。
ただし、相続財産清算人の選任申立てをする場合、裁判所に手続の費用として数十万円以上を納めないといけないケースが多く、かなりの金銭的な負担があります。
そのため、相続放棄をしたケースであっても、相続財産清算人の選任申立てまではしないという案件の方が圧倒的に多いと言えるでしょう。
4 相続財産清算人を選任しない場合はどうなるのか
相続放棄をした場合、相続人は、遺産である土地について、何らかの責任を負うのでしょうか。
この点については、不明確な点も多かったのですが、法律の改正によって、相続放棄の時に、土地を占有している場合にのみ、一定の責任を負うことになりました。