相続放棄と遺品整理

文責:所長 弁護士 大澤耕平

最終更新日:2024年08月28日

1 相続放棄とは

 人が亡くなると、法定相続人が亡くなった方の財産を相続することになります。

 なお、ここでいう亡くなった方の財産は、プラスの財産に限られるわけではなく、借金や税金の滞納などのマイナスの財産も含まれます。

 亡くなった方の財産を相続したくないという場合には、「相続放棄」という手続きをとることで、一切の財産を相続しないことが可能です。

2 相続放棄をする際、遺品整理をしても問題ないか

⑴ 遺品整理はしてはいけない

 相続放棄をしようとお考えの方の中には、亡くなった方の遺品整理をしたい、亡くなった方が住んでいた家の大家さんから片づけを求められている、という方もいらっしゃるかもしれません。

 しかし、遺品整理は基本的にはしてはいけません。

⑵ 遺品整理をしてはいけない理由

 遺品整理により、亡くなった方の財産を処分してしまうと、相続をする意思を示したとみなされてしまい(単純承認といいます。)、相続放棄をすることができなくなってしまいます。

 そして、相続放棄の手続きを家庭裁判所で行った後であっても、遺品整理等による亡くなった方の財産の処分行為をしてしまうと、相続放棄が無効になってしまう危険性があるため、してはいけません。

 なお、写真や着古した洋服など、明らかに価値のないものについては、処分しても単純承認とはみなされませんが、その線引きは不明確ですので、弁護士等の専門家に確認した上で処分することをお勧めします。

⑶ 処分できなかった遺品はどうすべきか

 相続放棄をしたとしても、次の相続人のために亡くなった方の財産を管理しておく義務は残ります。

 したがって、相続放棄した後も、亡くなった方の遺品は次の順位の相続人のために、ご自身の財産と分けて保管しておく必要があります。

 また、相続人全員が相続放棄をした場合、後に亡くなった方の債権者などから相続財産清算人の選任が申し立てられる場合があります。

 その場合、相続財産清算人に遺品を引き継ぐ必要がありますので、相続人全員の相続放棄が完了したとしても、遺品の保管は続けた方がよいでしょう。

PageTop