未成年の方の相続放棄

最終更新日:2025年02月27日

1 単独ではNG

 相続放棄は、「法律行為」に該当します。

 そのため、未成年者は、単独で相続放棄をすることができません。

 未成年者が相続放棄を行う場合、法定代理人が未成年者に代わり手続きを行う必要があります。

2 法定代理人は誰?

 未成年者の法定代理人は、通常、親権者になります。

 しかし、未成年者の相続放棄の場合、親権者が法定代理人になれない場合があるので注意が必要です。

 親権者が法定代理人になれない場合、家庭裁判所に特別代理人の選任申立てを行い、選任された特別代理人が当該未成年者の法定代理人となって、相続放棄の手続きを行うことになります。

 親権者が法定代理人になれない場合とは、親権者と未成年者が利益相反の関係に立つ場合です。

 では、どのような場合に、利益相反になるのか場合分けしていきます。

3 親権者が法定代理人になれる場合(特別代理人が不要の場合)

⑴ 親権者が相続人でない場合

 例えば、すでに父母が離婚し母が親権者となっている場合に、父が亡くなったため父の相続が開始した場合が、これに当たります。

 このような場合、親権者である母は離婚した夫(父)の相続人にはなりませんので、未成年者と利益相反の関係に立つことはありません。

⑵ 親権者も未成年者も相続放棄する場合

 親権者も未成年者も相続放棄する場合、相続放棄が受理されたらいずれも相続人にならないこととなりますので、利益相反の関係になりません。

 ただし、未成年者が複数存する場合には、以下述べるケースによっては利益相反の関係に立つことがあるので注意が必要です。

4 親権者が法定代理人になれない場合(特別代理人が必要な場合)

⑴ 未成年者のみが相続放棄する場合

 親権者が相続し、未成年者のみが相続放棄する場合、どのような理由があるにせよ、未成年者に相続放棄させ、親権者のみが遺産を受け取るというのは、利益相反の関係に立ちます。

 そのため、本当に未成年者に相続放棄をさせてよいのか判断するためにも、特別代理人の選任が必要となります。

⑵ 未成年者が複数いる場合で、一部の未成年者のみが相続放棄する場合

 未成年者が複数いて、特定の未成年者に遺産を引き継がせ、他の未成年者には相続放棄をさせると言った場合、特定の未成年者のみが利益を得、相続放棄をする未成年者の利益を害することになりかねません。

 このような場合にも、利益相反に該当するとして、特別代理人の選任が必要となります。

PageTop